グルタミン酸ナトリウムを礼賛せよ

三大珍味と言えば、キャビア・フォアグラ・トリュフであるが、それは主に「旨味成分」と呼ばれるものがどこに含まれているのかというものの例であって、グルタミン酸ナトリウムが開発された現在となってはそれらは無用の長物なのではないだろうか。おいしいものをなぜ美味しく感じるのかを研究した結果がグルタミン酸ナトリウムなのだから、僕らが何かを食べておいしいと感じる理由もグルタミン酸ナトリウムに帰結するのである。いまだにキャビアだのフォアグラだの言っている人は、食材の名前に心が引っ張られて味がわからなくなっている人である。目隠ししてキャビアですよと言って味しおをなめさせてもうまいうまいと騒ぐだろう。

旨味成分を人工調味料で簡単に味わうことができるようになった現在、料理の「うまいまずい」というのは昔よりだいぶ変わっていると思う。風味だとか食感だとか、「うまいまずい」というよりもむしろ「好きか嫌いか」の部分に大きくかかわってくるように思われる。

と考えていると、そもそも「食べられる食べられない」ってどこで境目が引かれるのだろうか、という疑問がわいてきたのでこの辺でやめる。食べたら死ぬ食材は食べられないけれど、ただ単にまずいだけなら食べられるはずだし、現にドリアンとかニコニコしながら平気でズルズル食べる人はいるのだし、でも僕はあれは食べられないので、そうすると「食べられる食べられない」ってなんなんだよ。