意図的なんだろうきっと、「ベースボール」が「レスポール」に聴こえるのは。

昨日は、朝から家に人を集めてみたが、人の質がそれぞれあまりにも違ったのでさっぱりもりあがらず、結局夜は一人でテレビを見ていた。アメトークでは芸人が男同士でキスしまくっていて、ぜんぜん面白くない割には凄まじかった。にもかかわらず、ずっと見ていた。その後、twitterにて、いとうせいこう氏のリコメンドをうけ、USTREAMというリアルタイムの動画配信サイトでokadadadaという滋賀のフリーターDJのセットを朝までずっと見ていた。ものすごい体験だった。家にいてよかったと思った。
まず、朝の6時まで2000人が、しかも何の他意もない、ただその音楽をずっと聴いていたいと思っているだけの2000人が、同じ音楽をずっと聴いているという状況。これは、インターネットというハード、それからtwitterやUATREAMというソフトがあってこそ、今特有の新しい音楽のあり方だったと思う。僕は時代を見たと思う。朝まで2000人が気持ちよく音楽を聴き続ける箱がいったい現実世界のどこにあるというのか? 昨日彼よりも多くの客を彼よりも深く魅了したDJは世界中どこを探してもいないだろう。チャットを通して人々の脳みその中身が溢れ出すあの一体感は、ギュウギュウの箱の中で汗の匂いを嗅ぐ以上のものがあった。実際隣に人がいたって楽しんでるかどうかなんて顔見てるだけじゃわからないけれど、チャットでは気軽な会話が、他人を邪魔する事の無いイノセンスな感想が、グっと僕らを引きつけていた。それに楽しみ方を強制しない。友達と一緒に見る事だってできたし、僕みたいに一人の部屋でバカみたいな量の焼酎やワインを飲みながらバカみたいに踊る事だってできたし、掃除のBGMにする事だってできた。リアルなんてやっぱり冷たいじゃないかとさえ思った。玄人が聴けば大ネタばっかで食傷気味なのかもしれないけれど、選曲が抜群によかった。チャカカーン、ジャミロクワイ、ナオヒロック&スズキスムース、スチャダラからYMO、中原メイコまで横断的に。モンキーマジックとかも流れてた。de la soulのバージョンだったかな。東氏が最近しきりに言う一般意志2.0の意味が少し分かった気がする。それに知らない音楽もたくさんあって、勉強不足も感じたし。普段okadadadaという人はアニソンもミックスするらしい。素晴らしいと思う。変に音楽的にスノッブになってしまうのは絶対に良くない。ま、朝までそんなバカなことやってた男が、数時間後にはネクタイ締めて、大見栄切って、中学生に古文や英語を教えているというのも世の中のおかしな縮図ではあるのだけれども。

BirthdayやCLOCK、「ほ・し・ふ・るよるになあったらー」っていう曲も良い曲だった。いや、過去形はおかしい。バイトが終わって先輩がXBOXでギャルゲーをやりながら焼いていた七面鳥を食べていたら、友達四人ぐらいから同時にフジファブリックの志村さんが亡くなったというメールが入る。真夜中に見たスクラップヘブンという映画のエンディングで鳴っていた蜃気楼という曲にゾッとして、高校のときに真面目に聞き始めたんだったか確か。ずっとライブを見たいと思っていたバンドで、結局1回も見ずじまいに終わってしまった。うまくいけば30日に見れる予定だったのに。早死にしたぐらいでレジェンドになるのはおかしいれど、深夜自転車にのっていて、どの世代にも素晴らしいクリエイターがごろごろいるんだなと思った。友達からのメールの一つに「自殺じゃなくてよかった」と書いてあって、僕も自殺はやめておこうと思った。