春になる頃にはもう銀杏の匂いをすっかり忘れている。

だから秋になって臭い、臭い、といいつつも、彼らはまた嗅げたことに少し喜びを感じているのかもしれない。
なぜか午前中いっぱい銀杏BOYSを聴いて過ごす。駅から家までの道が全部坂だった当時の空気を思い出す。猫も杓子もなんとなく行ってしまうといわれる、あの金にまかせたホームステイに当時僕も行った。夏である。帰りの飛行機で読んだ新聞に、スポーツ紙特有のものすごいビビッドな配色の文字で、「銀杏峯田露出」と書いてあった。それが久しぶりに見た漢字だった。それで聴き始めたのだと思う。帰り際にスーツケース抱えたまんまTSUTAYAによって部屋で聴いたらすごく気持ちよかった。まだまだ日本の夏は蒸し暑かったし、イギリスでは替えのMDを持っていき忘れて、もとからプレイヤーに入っていたYMOばっか聴いてたからそう感じたのだと思う。それから冬のはじめにかけて朝の満員電車の中でよく聴いていた。半年後には聴かなくなっていたのだけれど。いま聴くと、ブルーハーツとイギーポップを一緒に聴いてるとこうなるのかなとか、あここのメロディはラモーンズだなとか、ミッシェルポルナレフまんまじゃんとか、フォークだなとか、そういう聴き方をしてしまうが普通のメロディとコードの轟音で気持ちいいなという感じる心が懐かしい。「甘いシュークリーム 君はシュープリーム」とかなかなかすごい歌詞である。
昨日の夜、友達からさっそく国立大学の医学部に合格したとの報告があって、卒業式の最中には一切わいてこなかった感覚が湧いてきたのでそういう午前中となった。