WET BEAVER PATROL

世界史一問一答5章 MKB1-1の4と5 EK1-1
家に帰ったら帰ったで本を読んだりなんだり失敗した。数学の過去問と論述が遅れてる。

なんだかんだでガープの上巻を読み終わった。直後の感想はこれのかわりに世界史の教科書読んでたらなぁ、であったがおそらく結婚のくだりが省略されているのは、作者がどこかほかの小説でそのネタを使ってしまったからだろう。あるイメージ、それもまとまりきらなかった無数の断片的なイメージを自伝仕立ての物語の中に組み込んでいる。(外国文学の場合は「私小説」という言い方がされないのは、日本人の批評家がそれを使う場合大半は揶揄を込めているからであり、かつ外国文学を揶揄するのはちょっと・・・というひるみがある証拠だと思う)とにかく作者にとってはお得な小説である。いいけどね。ほとんどすべての登場人物に関して、どうやって死んだか、の設定がなされているところがおもしろい。それから、人間というのは人生の大半をセックスに関する心配で消費しているんだなということがわかる。コンドーム小説といってもいいかもしれない。

おととい、友達が途中の駅で降りた後、早速ガープを読み出したら次の駅かその駅で乗ってきた女性、が向かいの席できっちりと膝を閉じてカバーもかけずに読んでいた本が「良いセックス 悪いセックス」であった。ここでアマゾンの紹介欄からその内容を抜粋すると、

セックスにまつわる関心事を「心・技・体」の角度から鋭く考察する。性感帯を開発する極秘テクニック、女も濡れるフェラチオのやらせ方、マンネリ化したセックスの打開方法などなど、エロティックで刺激的な情報がテンコ盛り。巻頭の“超セックスライフ・チェックシート”を読めば、あなたのセックスが間違っていないか、今スグわかる。

ということらしい。そんな本を悪びれもなく読んでいる時点でおそらく彼女はセックスに関してはさほど悩んでいないのだろうけども(本当に悩んでいる人間に限って隠そうとするものである)僕の方の小説の主人公がヨーロッパの売春婦とさわやかな関係を作ったりしている最中にも彼女はものすごく端正な顔つきで一心不乱に読み続け、結局彼女が本をぱたっと閉じて(その音が聞こえた)電車を出て行った頃には売春婦は死に、アメリカ出身のガープはウィーンでアメリカ出身のヒッピーから淋病をうつされていた。
今朝隣に座った女性は二流の翻訳もののサスペンスを読んでいたし、午後向かいに座っていた人は執拗に鏡で髪型などをチェックしていて降りるまでの間に化粧が1.2倍濃くなっていた。僕は電車の中で2流の翻訳小説を読んでもいいと思うし、化粧をしていても別にいいと思う。「生活」があってとてもいい土曜日だった。
こういう観察をこそ「BEAVER PATROL」というのかもしれない。